ふ~っと一息

イドアズ。主にはフロアズ。ジェの出番もあり。
筋トレ動画をつくるフロイド。
途中視点が変わります。
#小説
 フロイドはアズールの部屋のベッドの上で雑誌を眺めていた。今日はジェイドがいないことだし、アズールと一緒に寝ることを企んでいるので、大人しくアズールの用事が終わるのをまっている。そのアズールは机に向かって明日の復習をしている。基本的には同じルーティーンをこなしているのでそろそろ終わるだろう。
「……ふぅ」
 アズールは軽く息を吐いた後、教科書をパタンと閉じた。でもまだ寝る時間じゃない。今度はタブレットの電源を入れ、動画を再生する。
『みなさんこんにちは!全身に効果的な運動をやっていきましょう!まずは軽くスクワットから……』
 動画投稿サイトでも人気のトレーナーの筋トレ動画だ。それを見ながらアズールも同じように体を動かしていく。軽い筋トレをするのはアズールの習慣ではあるが、ここ最近同じトレーナーの動画を使っていることがフロイドは気になっていた。フロイドは運動することは好きだが、筋トレを意識してやることはほぼ無い。だから筋トレ動画の良しあしはわからないが、チャンネル登録者も再生数も非常に多いこのトレーナーの動画は良い動画なのだろう。
 フロイドは雑誌を閉じた。
「ねぇ、アズール。最近そいつの動画よく見てない?」
「彼は有名なトレーナーなんですよ。理論もきちんとしていて短時間で効率的な運動ができるんです」
 アズールの言っていることはわかる。やりたいことがたくさんなアズールの予定は常にぱんぱんで、筋トレ時間もなるべく短い方がいい。だけど、フロイドは何かもやもやしていた。独学で筋トレをやるより動画をみながらやった方がいいし、このトレーナーに特に思うところがあるわけでもない。どうやったらこのもやもやがなくなるのだろうか。

 数日後、アズールの部屋にフロイドがやってきた。
「フロイド!今日の授業をサボったようですね」
「そんなことより、はい。これ見て」
 フロイドが自分のスマホを差し出す。全然そんなことではないのだが、先にフロイドの要件を済ませた方が良さそうだ。アズールがスマホをのぞき込むと、そこにはフロイドが筋トレしている動画が流れていた。
「お前が筋トレしているところを見せて何がしたいのですか?」
「これからはこの動画見て筋トレしてよ」
「はぁ?」
「ちゃんと効率的な筋トレ方法を調べて撮ったし、そこらの筋トレ動画よりいい自信あるよ。……だめ?」
「……わかりました。試してみましょう」
 フロイドがわざわざ動画を用意するとは驚いた。断る理由も無いし、いつもの気まぐれの一種だろう。

 数日後、アズールは今日も筋トレをしていた。フロイドから渡された動画を使って。動画を作った本人が言うように、効率的な筋トレができていることにアズールは満足していた。この動画をシェアすれば確実に人気が出るだろう。筋トレ動画としても、見目の良い男子高校生の動画としても。さすがに勝手にアップロードはできないので後でフロイドに許可を取らなければ。そんな中、ジェイドが部屋へ訪ねてきた。
「アズール。フロイドの望みだけ叶えるというのは不公平ではありませんか」
「望みというほどのことでもないでしょう」
「効果的な筋トレ方法なら僕も知っています。今度一緒に実践しましょう」
「お前も動画を?構いませんが」
「でしたら次の休日の予定は僕にお任せください。全て手配しておきます」
「お願いし……ん?ちょっと待て、登山じゃないだろうな!?」畳む